【感想】オペラ『フィガロの結婚』が想像以上に面白かった話

夏ほどの日差しはなくとも洗濯物がよく乾く、こんにちは藤咲です。


そんな秋らしい気候になってきたなか、初めてのオペラ鑑賞をしました。

ふじ丸
ふじ丸

舞台やミュージカルは今までもあったけど、オペラなんて急にどうしたんにゃ?

沙久
沙久

偶然チラシを見てね
ずっと気になってたタイトルだったから、思いきってみたんだ!


鑑賞したのは『フィガロの結婚』。

ストーリーは知らずとも、レドレドレチャララララから始まる序曲は耳にする機会が多くたいへん有名ですね。今回、生演奏で聴けて感動しました。

実は藤咲もこの音楽とほんのり縁があり、それゆえに物語の方も気になっていたのです。


イラストを交えつつ感想をお伝えする……その前に。


もう先にこれだけ宣言しておきます。



たいへん面白かったです!!



原語上演だとか字幕だとか不安も多かったのに、オペラってこんなに楽しめるものだったの?と素直に驚いたくらいでした。


そして後述もしますが、例えネタバレに感じても「詳細なあらすじをしっかり知っておく」のがオススメです……!
読んでおいてよかったから!



それでは詳しくお話ししていきましょう!


『フィガロの結婚』とはどんな物語か

作曲:W.A.モーツァルト
台本:L.ダ・ポンテ
原作:P.A.C.deボーマルシェ

演出家が語るポイント

今回観劇したのは、大阪府堺市にあるフェニーチェ堺での堺シティオペラ第39回定期公演です。

演出は岩田達宗さん、
指揮はデリック・イノウエさん。

全4幕から成る、日本語訳字幕付き原語イタリア語上演でした。


上演前にはなんと、岩田さんが舞台上に登場し公演カタログにもないエピソードや物語のポイントを語ってくださいました。

その中で印象的だったお話をご紹介します。

①国境を越えた作品

“外国の作品”くらいにざっくりと認識していた『フィガロの結婚』。
それが海を越えて日本へやって来──る前に、なんなら完成に至るまでにも多くの国が関わっていたのです。


『フィガロの結婚』には原作があり、それはフランス人の劇作家ボーマルシェが書いたものでした。

それを読んだオーストリア人の作曲家モーツァルトが音楽を作り、イタリア人の台本作家ダ・ポンテが台本を起こしてオペラとなります。

こうして描かれた物語の舞台はスペイン
ついでに言えば、楽譜はドイツ語。

そして今、私たちがここ日本で鑑賞しているのです。


国内外での争いが盛んであった時代に作られたにも関わらず、多くの国の人間が関わり、長い歴史を経て世界で愛される物語となっている。



これはもう、浪漫ではないでしょうか。


②キーワードは3つ

Contentコンテント=幸せ

Vendettaヴェンデッタ=復讐

Paceパーチェ=仲直り、平和


この3つの言葉が本作のキーワードだと岩田さんは仰いました。

幸せは物語の始まりであり、キャラクターの誰もが求めています。愛のため、幸せのため、自分の思いを通そうと作中で復讐の気持ちが溢れました。

そして相手を思いやり、歩み寄り、仲直りすることが出来たとき、本当の幸せが得られたのです。


実際に観劇した後で振り返ってみれば、作品全体を表すのにピッタリな単語だったなと感じられました。
実際、これらの言葉はセリフにも数多く取り入れられています。


ちなみに藤咲は字幕で判断してました、聞き取れませんでした……。


余談ですが、唯一覚えているスペイン語「mi tesoro私の宝物」を耳でキャッチ出来て嬉しかったです。本当に余談。

ストーリーの概要

フィガロの結婚相関図


伯爵の従者であり親友のフィガロは今日、愛するスザンナとの婚礼を挙げる。彼女は伯爵夫人の小間使いだ。
そんな二人のために伯爵は新婚祝いとして、館の最上階の部屋を新たに与えてくれた。

喜ぶフィガロだが、贈り物の意図は伯爵がスザンナとの“初夜権”1を狙うための作戦であったと知ってしまう。怒りに燃え、断固たる抵抗を決心した。


幸せな結婚をしたいフィガロ、スザンナ夫婦。
スザンナを我が物にしようとする伯爵。

そこに加わっていくのは、伯爵の愛を取り戻したい伯爵夫人、フィガロに言い寄る小間使い頭のマルチェッリーナ、フィガロと伯爵を目の敵にする医師ドン・バルトロ、伯爵夫人に懸想する小姓ケルビーノ……。

様々な人、そしてそれぞれの思惑を巻き込んで、騒がしく長い長い一日が始まろうとしている。果たして、二人は無事に結婚出来るのか──。

  1. 主に中世ヨーロッパにおいて、権力者が花婿に先立ち花嫁と同衾出来る権利。本作では伯爵自身が廃止しているはずだが、スザンナを前に復活を企んだようだ。 ↩︎



入れ替わり立ち代わり現れ登場人物と交錯する各々の作戦、突如発覚する真の関係性(!)……と、常に大混乱の渦にありながらもコミカルに描かれています。


実際に鑑賞する場合、知らずにいるとついていきにくい箇所も多くあるので……

幕ごとの展開・あらすじを別途書き起こしておきますね。少し長くなるので畳んでいます。
(正直言って力作です、読んでほしいレベル)


これから観に行く方、行かないけどもっとストーリーを知りたい方は下の「続きを読む」ボタンからどうぞ!

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私が気になったキャラクター

とっても素敵な衣装だったのでぜひ描きたかったのですが、衣装姿の資料が入手出来ず……。

曖昧な記憶で補填しつつ、イラストでお伝えします!

意外と強か?可憐な策士スザンナ


頼むから大人しくして!無邪気なケルビーノ


争いを拒む「Si」は愛に満ちていた

本当の幸福を求めて愛のために
その言葉は Siはい

これは今回の公演で、タイトルの下に添えられていた文章です。

自身の過ちに気付いた伯爵が許しを請うた相手は伯爵夫人でした。何度も嘆き悲しみ、心無い言葉を投げられた、最も傷ついている人物です。


──許せないわ!私も復讐よ!


そんな気持ちになったっていいはずの彼女は、許してほしいと言う伯爵に「Si(はい)」と答えました。

Noを突き付けることは、新たな争いを生むからです。否定を繰り返すのは嫌だからです。


『フィガロの結婚』では、生きていく中で様々な対立をし続けてしまう人間らしさを描くとともに、争いを一掃するために必要なことは何かを訴えていました。

わかりあえると信じよう、愛だけが幸せな結末をもたらすと信じよう……そんな希望に満ちた歌で物語は幕を閉じました。


日常生活へあてはめて考えてみても、同じ言葉も“否定的な表現”にしないだけで優しく感じられたりしますよね。

いったん受け止めてみたり、ポジティブに言い換えてみたり……それって相手を思い遣る愛なんだよな、と。

こうして作品紹介を書きながら、しみじみと感じることが出来ました。

小さな気配りをお互いに心がけて、幸せを分かち合える生き方をしたいものですね。


まとめ

中々の長丁場となりました。
皆さん、いかがだったでしょうか?

普段から映画を字幕で見たりするのが苦手……という方は、言語上映に不安を持たれるかもしれません。

ですが、ストーリーをしっかり知っていれば文字が追いきれなくてもカバー出来ると思います。(字幕得意でも知ってた方がよいですが!)

オーケストラの心地よい演奏や演者たちの伸びやかな歌声、感情豊かな演技。それらを浴びる楽しさをぜひ体感してほしい。


この記事で興味を持ってもらえれば幸いです!
藤咲もまたオペラ挑戦したいと思います!



最後になりましたが……
堺シティオペラ第39回公演、時折クスッと笑える日本語をこっそり忍ばせるという遊び心溢れる演出がとても楽しかったです。

会場であるフェニーチェ堺では日々、オペラに限らず様々な公演が行われています。

そちらの公式サイトも貼っておきますね。


フェニーチェ堺公式サイト



ではでは。
藤咲でした。


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